論語は著名経営者のお薦め本に頻繁に登場する。
その論語には「身内の犯罪には目をつむれ。それが本物の正直もの」という教えがあることを知った。私の知る一般的な日本人の道徳観とは相容れない教えだ。
昨今の社会を省みると、大企業・行政の犯罪や不正の隠蔽が内部告発により明らかになる不祥事が後を絶たない。社会のトップ層が、論語の「身内の犯罪には目をつむれ。それが本物の正直もの」という教えを意識・無意識のうちに忠実に実行している。大企業の経営陣や行政幹部が論語をあがめすぎ傾聴しすぎている結果ではなかろうかと危惧してしまう。
社会を動かすような人々には先ずは日本の規範に従ってほしい。
論語当該部分の下村湖人(1884~1955)による訳は次の通り。
葉公が得意らしく先師に話した。私の地方に、感心な正直者がおりまして、その男の父が、どこからか羊が迷いこんで来たのを、そのまま自分のものにしていましたところ、かくさずそのあかしを立てたのでございます。すると、先師がいわれた。私の地方の正直者は、それとは全く趣がちがっております。父は子のためにその罪をかくしてやりますし、子は父のためにその罪をかくしてやるのでございます。私は、そういうところにこそ、人間のほんとうの正直さというものがあるのではないかと存じます